戦争犠牲者のハーモニカの音色 少年時代⑦

ガラスのような繊細な心をもっていた少年時代。

私は、周りとは少しだけ感覚が違っている不思議な子どもでした。

 

1981年冬のことです。

小学6年生の冬休みは、お正月を祖父母の家でゆっくりと過ごしました。その後、自宅に帰る途中、ある出来事が起きました。

私の住む街のターミナル駅に到着し、その駅と大通りの向こう側にある商店街とをつなぐ「地下道」を通っていた時のことです。

私たち家族は、その地下道を利用するため、階段を下り始めました。すると、地下道の奥の方から何とも言えない、悲しげなハーモニカの音が聞こえてきたのです。

そのメロディを聞きながら地下通路を歩いて行くと、3人の年老いた男性が膝をついた姿勢で、ハーモニカを吹いている様子が目に入ってきました。

何のためにこの場所でハーモニカを吹いているのかは分かりませんでしたが、その音色と身にまとっている暗いオーラは、深い悲しみを物語っていました。

その3人のそばを通り過ぎた時に、私は、あることに気づき、衝撃を受けました。

その3人は、片腕がなかったのです。足がなかった人もいたように思います。

肩から義手がついていましたが、それは、現代のものとはずいぶんと違い、ただの棒にしか見えない簡易なものでした。手のひらにあたる部分は付いておらず、肩から伸びる棒の先端を地面に立てかけて、体を支えているような姿勢でした。義手の素材が、木製か金属製かは分かりませんでしたが、とても古びた感じでした。

その義手を洋服で隠すこともなく、むき出しにしたまま、もう片方の手でハーモニカを吹いていたのです。

まだ小学生だった私にとって、その光景は、あまりにも衝撃的でした。

その人達の前を通り過ぎ、地下道の階段を登って地上に出ると、母がこう言いました。

「あの人達は、戦争の犠牲者なのよ。」

それを聞いて、あの悲しみのオーラの意味を理解することができました。初めは彼らに対する恐怖心があったものの、次第に悲しみや哀れみといった同情心に変わっていきました。

「おばあちゃんからもらったお年玉、あの人たちあげてもいい?」と私が聞くと、

「いいよ。」と母は答えてくれました。

きっと、あの方々は、傷痍軍人だったのだと思います。

1981年と言えば、終戦から約34年が経っています。彼らの34年間を思うと、胸が苦しくなってきます。日本は、戦後の復興はすでに終わり、戦争の面影は感じられず、すっかり近代国家になっていました。面影が残っていないどころか、その悲しい影をかき消そうとするかのように、日本は好景気に盛り上がっていました。高度経済成長(1955年~1972年頃)を経て、バブル期(1986年~1991年頃)に向かっている最中です。

そんな世情を背景に、突然現れた、悲しみを身にまとった戦争犠牲者たち。

私にとって彼らは、戦争のリアルさを身を挺して教えてくれたとても貴重な存在です。文字通り、生きた教材です。広島と長崎の原爆資料館に行った時も、もちろん衝撃を受けたし、そこから多くのことを学びました。しかし、この地下道での経験は、原爆資料館以上のリアルさがあり、心に強く訴えるものがありました。

 

ここのところ、いつ戦争が始まってもおかしくない状況になっています。未だに軍事力を手段としていることに、怒りを通り越して呆れてます。

戦争を解決の手段として考えてる人たち、戦争で利益を得ようとしている人たち、裏で操っている人たち、人の命を軽んじている人たちに対して

一言、言わせてもらってもいいですか?

 

この、

 

ばかやろう。

 

他に方法は考えられないの? 本当に血が通っているの? 本当に人間なの?

どんな事情があろうとも、どんな状況に置かれようとも、どんな立場であろうとも、それをやっていい理由なんてないんだよ。

 

恥を知れ。

 

私は、許せない。

地球をこれ以上汚すなんて許せない。

はらわたが煮えくりかえる。

許せない。

絶対に許せない。

 

でも、

でもね…

このまま、許さなくてもいいの?

ネガティブな感情で、幸せな現実を導けるの?

許した方がいいの?

子供の頃は、どんな理不尽な理由で喧嘩しても最後は許しあった。

今回は問題の規模が違うから、この件に関しては許さなくてもいいの?

人を許すのに問題の大小は関係ないよね…

分からない…

許した方がいいのだろうか?分からない…

許すべきなのか。分からない…

許せない! でも、

許した方がいいの?

私の中の人間的な部分が、悩んでいる。叫んでいる。

どうなんだ、おい、自分!

 

 

で、できることなら許したい。

ゆ、許したい。

私は、

私は、許します。

 

「許さない。」というネガティブな気持ちをもつことで解決するのならば、そうします。しかし、それはあり得ません。

何事にも言えることですが、いくら辛い状況であっても、「許す」という愛の感情をもって事に当たらなければ、いい方向には行きません。

 

私をいじめてきた人達を「許さなかったら」、「もっと苦しんでいた」でしょう。

私をいじめてきた人達を「許したから」、「人生が明るく開けて」きたのです。

これと同じです。

 

私たちは、高次の星から転生してきました。銀河という大きなスケールで物事を見ることができるはずです。一歩下がって視野を広げ、銀河の住人という視点で、地球を見てましょう。

銀河の一点に、青く美しい星があります。それは、地球という惑星です。今まで、天変地異や人災によって、何度も滅びかけた星です。それでもあきらめず、今も、次元上昇しようとチャレンジしている星なのです。あともう少しで、暴力ではなく平和的な手段で、この星の問題を解決できるようになりそうなのです。しかし、まだ、古いやり方を繰り返してしまったり、ネガティブな存在に惑わされたりして、最後の一歩がなかなか踏み出せないでいます。地球人は常に悩み苦しみ、時に自暴自棄になり、あらぬ方向に舵をとろうとしてしまう危うさがあります。この星は見ていて、本当にハラハラさせられます。あきれ返る時もあります。でも、なんでだろう?この地球には不思議な魅力があるのだろうか、応援せずにはいられなくなるのです。間違えた選択をしようとも失敗しようとも「許して」あげたくなるのです。助けてあげたくなるのです。それぐらい価値のある星なのです。素晴らしい星なのです。愛すべき星なのです。だから、何度でも「許し」ます。

私たちには、全てを許す力があるのです。

「許し」とは愛です。私の中の地球に光を当て、全てを許し、全てを愛し、慈しむことこそ、私たちがすべきことなのです。

これが、世界を平和へ導く唯一の方法なのです。

 

少年時代⑧につづく

コメント

  1. What’s up it’s me, I am also visiting this web page on a regular basis, this web page is
    actually good and the visitors are in fact sharing nice thoughts.

  2. zoritoler imol より:

    I got what you intend,saved to my bookmarks, very decent web site.

  3. I like what you guys are up too. Such smart work and reporting! Keep up the excellent works guys I have incorporated you guys to my blogroll. I think it’ll improve the value of my web site 🙂

  4. Hi there would you mind sharing which blog platform you’re working with? I’m going to start my own blog in the near future but I’m having a hard time deciding between BlogEngine/Wordpress/B2evolution and Drupal. The reason I ask is because your layout seems different then most blogs and I’m looking for something unique. P.S My apologies for getting off-topic but I had to ask!

  5. canon mallorca より:

    I genuinely enjoy reading on this internet site, it contains great blog posts. “Wealth and children are the adornment of life.” by Koran.

  6. Very interesting points you have observed, thankyou for putting up.

タイトルとURLをコピーしました