天狗への恐怖 少年時代③

ガラスのような繊細な心をもっていた少年時代。

私は、周りとは少しだけ感覚が違っている不思議な子どもでした。

 

私は、天狗が怖くて仕方ありませんでした。

それには、トラウマになる出来事(幼稚園の行事)があったからです。

 

幼稚園の春の遠足でした。山にハイキングに行くということで、とても楽しみにしていました。自然の中で遊ぶことは好きだったので、ごきげんで山登りをしていました。

しかし、楽しかったのは束の間でした。

山頂に着くと、そこには大きな池(小さな湖)がありました。そこで、担任の先生がこう言ったのです。

「この湖の向こう岸には、天狗たちが住んでいるんですよ。」

「みんなで、天狗さんを呼んでみましょう! せーの!」

「天狗さ~ん!!!」と叫ぶ園児たち。

しかし、天狗からの返事はありませんでした。そこで、すかさず先生は、こう言いました。

「今日は、天狗さん、どこかに出かけているんでしょうね。」

私は、このやり取りの後、「天狗は本当に存在したんだ。」と知り、一気に暗い気持ちになってしまいました。しかも、今、天狗はねぐらにいないとすると、この辺を飛んでるんじゃないか?!と、辺りをきょろきょろ挙動不審に。このあと、天狗が後ろから追いかけてくるんじゃないかと恐怖に怯えながら下山しました。

何とか、無事に山の麓の森林広場にやってきました。そこで全員並んで体育座りをさせられました。

すると、園児たちの正面にそびえ立つ一本の大きな木の後ろから、白い煙がモクモクと立ち込め始めたのではないですか。

なんだ!なんだ!!木が燃えてる!火事か~!!と園児たちはパニックに、先生たちも驚いた風の臭い演技をしています。

すると、その煙の中から、なななんと、一匹の天狗が出てきたのです。

それを見た園児たちの中には、パニックになり泣き出す子もいました。私も一瞬驚きましたが、パニックになることはなく、割と冷静にその様子を見ていました。

あの天狗は園長先生だな(笑)。ということは、「天狗は実在しないってこと。園長先生が天狗を演じてるってことは、天狗は存在しないって言ってるようなもんだな。」と悟り、みんながパニックになる中、一人ほくそ笑んでいました。

だいたい園長先生が演じる役どころは、実在しない人物なんですよ。キャンプファイヤーの火の神とかサンタクロースとか節分の鬼とか、架空の存在を演じるのが園長先生や校長先生の仕事なのです。前半の、湖の向こう岸の天狗の集落の話も、園長先生登場の前座、前振りだったんだと気付きました。

園長先生と先生方の茶番に気付いてから、明るい気分を取り戻し、最後の集合写真も首をかしげてニッコリ笑顔で写っています。

めでたし、めでたし!

と言いたいところですが、まだ、終わりではありませんでした。

なんと、その集合写真に、「天狗とおぼしき赤い影」が写りこんでいたのです。

それを見つけてしまってからは、天狗への恐怖が蘇り、私の中で天狗の実在が確かなものへと変わっていってしまいました。

それ以来、夜になると天狗のことを思い出してしまい、寝る前のトイレには兄についてきてもらう始末。

外に遊びに行っても、「あの山は、天狗の住む山なんだよ。」と兄に騙され、泣きながら帰ることもしばしば。

これが、1~2年間は続いたと思います。

もちろん今は平気になりましたが、あの天狗への恐怖は何だったんだろうと思います。

 

みなさんは、自分を恐怖で震え上がらせる存在ってありますか?お話聞かせてください。

 

少年時代④につづく

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